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薄板ばねとは

薄板ばねとは

薄板ばねとは

薄板ばねとは、鋼板を曲げることによって発生する力(復元力、言い換えると、力を加えたら変形するが、離すと元に戻る弾性力)を活かしたばねの中で、特に薄い板を使ったばねの事です。主に、曲げ変形による復元力を利用した「おさえ」や「つかむ」などの用途に使用されます。なお、厚板のばねでは、ばねとしての機能だけでなく、構造物の一部として使用される場合もあります

 

薄板ばねは、板の厚さとしては、おおよそ1.0mm以下のものを指すケースが多く、身近な例で言うと、例えばボールペンに付いている胸に引っ掛ける金具、書類を束ねるための持ち手が付いたクリップ、調理する際に使うトング、ホースバンドなども薄板ばねに分類することができます。

薄板ばねの事例集

薄板ばねの材質

薄板ばねは前述のように板を曲げることによって発生する復元力を活用しますが、一般的な薄板は、曲げてしまうと「曲がったまま」になってしまいます。そこで、薄板ばねには「ばね鋼材」と呼ばれる、復元力が強い材質が用いられます。一般的には、ステンレスではSUS304-HやSUS301-3/4H、ばね鋼ではSK焼き入れ材(リボン鋼)やベーナイト鋼、リン青銅、ベリリウム銅、βチタンなどがあります。

薄板ばねの作り方

ここでは、薄板バネがどうやって製作されるのか、順を追って説明したいと思います。

  1. 材質の選定

    薄板ばねの性能は、もちろん最終製品の形状にも大きく左右されますが、まずどんな材質の、どんな薄さ(板厚)のものを選択するか?がとても重要です。一般的には、ばね鋼系の材質が選択されますが、それに加えて屋外で使用される、あるいは防錆が必要な場合はステンレス系、そのほか用途によって材質が選択されます。

    たとえば、薄板ばねの材質には、こんな材質があります。

    ステンレス系
    SUS304-H SUS304-1/2H SUS304-3/4H SUS631-3/4H SUS631J-3/4H
    SUS301-H SUS301-1/2H SUS301-3/4H SUS301-EH  
    その他鋼材
    SK(ナマシ) SK(リボン鋼) ベーナイト鋼 バネ用リン青銅 バネ用ベリリウム銅
  2. ①切断

    薄板ばね 切断

    薄板ばねに使用される材質は、初期状態はただの板です。従って、薄板ばねを製作するためには、ばねの形状に切り出す必要があります。通常は、任意の形状に切断するために、少量の場合はレーザー加工機やターレットパンチプレス、何万個レベルの量産であれば、金型を用いたプレス抜き加工、場合によっては重ねた状態の薄板ばねの材料をワイヤーカット放電加工機によって切断する、などによって行われます。

  3. ②曲げ

    薄板ばね 曲げ

    レーザー加工機などで切断された薄板ばねの材料は、次に形状を作り出すために曲げ加工が行われます。曲げ加工は、いわゆる板金加工で用いられるようなプレスブレーキや汎用金型を用いたプレス加工を用いることもあれば、特殊な形状を成形するために専用の金型を製作した上で曲げ加工を行うこともあります。

     

    薄板ばね 加工

    特殊な形状の薄板ばねを製作するためには、特殊な金型を都度用意する必要があります。したがって、特殊な曲げ金型を社内で加工できる設備を持っている薄板ばねメーカーは対応力が高いと言えます。さらに、汎用金型を多く保有していればいるほど、金型を製作する必要がなくなるので、対応力とともに薄板ばねの製造リードタイムの短縮にもつながります。

    なお薄板ばね.comを運営する株式会社山内スプリング製作所では、数量やご予算に応じて捨て型・簡易型で対応しています。簡易型とは、薄板ばねの量産製品の製造工程に使用する金型ではなく、その量産前に少量の試作品の生産を目的として製作される金型です。また、捨て型は試作やごく少量の製作時にその時だけの製作に対応する型でその製作が終われば捨ててしまう金型です。

     

  4. ③熱処理

    薄板ばね 熱処理

    曲げ加工まで行われた薄板ばねはすぐにお客様のもとに届けたいところですが、実はこのままでは薄板ばねの本来の力を発揮しません。薄板ばねに使用される材質は、曲げ加工で任意の形状を作り出しても、そのままでは何度か使ううちに形が崩れ、復元力が維持できません。そこで熱処理を行うことで、その形状を持ったまま靭性を向上させることで、薄板ばねが長く機能するようにします。

    薄板ばねの熱処理の種類は、ステンレス鋼や既に焼入処理されているばね鋼の場合は、一般的にテンパー処理を行います。また、SK材等のなましの材料は曲げ後に焼入れ処理を実施しますが、社内で一貫生産して焼入れできる少量品の製作対応するバネメーカーは比較的少ないとされています。また、板厚が0.5t以下の薄板ばね場合は、オーステンパー処理にて焼入れ処理を行います。

     

  5. ④表面処理

    熱処理まで行なわれた薄板ばねも、とうとう最終工程です。表面処理工程では、バレル研磨によるバリの除去・焼け痕の処理、またはショットピーニングなど工程を経て機能的にも見た目的にも問題ないレベルまで仕上げた後、品質チェックを経て出荷されます。

薄板ばねの使われ方

薄板ばねは先ほども書きましたとおり、さまざまなシーンで使われますが、大きく2つの使われ方があります。

  1. ①いわゆる「ばね」として使う

    みなさんがイメージする、元に戻る力を活用した本来のばねの使われ方です。身近な例だと、乾電池の電極は電池を入れた時に曲がり、取り出すと元に戻ります。いや、薄板ばねではなくそれは電極でしょ?という声も聞こえてきそうですが、機械的な機能面から言うと薄板ばねになります。

  2. ②物を固定しつつ、脱着を容易にする

    この薄板ばねの使われ方は、よくクリップやクランプという名前で呼ばれるもので、蛍光灯のランプを掴んでいる金具や、ホースクリップなどが代表例です。ここで重要なポイントは、固定だけでなく繰り返し脱着できる、という事です。一度固定して二度と外さないという場合であれば、薄板ばねの持つ復元性は必要ありません。靭性の高い薄板ばねだからこそ、「物を固定しつつ、脱着を容易にする」ということが実現できるのです。

薄板ばねが活躍する用途と業界

これまでお伝えしてきたように、薄板ばねの活躍する業界は、身近な民生品から工業用製品まで、多岐に渡ります。例えば蛍光灯のクランプ、懐中電灯のホルダなどの弱電・民生分野、表面処理を行う際の治具などの産業用途、窓のサッシや天井の板を固定するための建築用途などがあります。

薄板ばねが活躍する用途と業界

薄板ばね.comができること

ここまで薄板ばねについて説明をしてきましたが、おそらく、薄板ばねが無ければこの世の中は成り立たない!と思います。さまざまな分野で使用され、活躍する薄板ばね。薄板ばね.comでは、こうした世の中になくてはならない薄板ばねを、自社工場で一貫してお客様のもとにお届けいたします。

薄板ばねに関するQ&A

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