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2024.10.15

へたらない薄板ばねの加工方法について

薄板ばねとは?

薄板ばねは、材料が元に戻ろうとする力を活用した通常のばねとして使用されるものから、乾電池の電極として使用されるもの、あるいは建設現場で固定するために使われるばねなど様々な用途で使用されています。

薄い金属板を使用していることから、軽量で柔軟性がありながらも優れた耐久性を持つ点が特徴です。

用途に応じてさまざまな形状や寸法に加工されるため、その設計や加工方法は非常に多岐にわたります。

薄板ばねに使われる主要な材質

薄板ばねの材質選びは、その使用環境や求められる性能によって異なります。

一般的な用途であれば、SUP、SK85、リボン鋼を選択します。

なお当社では、耐久性が求められる薄板ばねに関しては、SK材にて加工したものに焼き入れを行う方法をご提案しています。

防錆が求められる場合には、ステンレス、通電が必要なものにはリン青銅やベリリウム鋼、化学・薬品などの用途で使用されるものにはチタン、高温環境で使用する航空宇宙・内燃機関・炉内など特殊な用途で使用される場合にはインコネルが最適です。

各材質の詳細については、こちらのページでご確認いただけます。

ヘタらない薄板ばねを製作するためのポイント

品質を保ち、ヘタらない薄板ばねを製作するためにはいくつかのポイントがあります。

R形状を大きくする

薄板ばねの曲げ部分において、R形状(曲線部分)を大きくすることで、応力が集中するのを防ぎ、ばねの寿命を延ばすことができます。

これは特に、機械的な負荷が頻繁にかかる場所での重要な対策です。

適切な熱処理を行う

薄板ばねに使用される材質は、曲げ加工で任意の形状を作り出しても、そのままでは何度か使ううちに形が崩れ、復元力が維持できません。

そこで熱処理を行うことで、その形状を保ったまま靭性を向上させることで、薄板ばねが長く機能するようにします。

熱処理方法は、熱処理を行う材質に応じて異なります。

例えば、焼き入れ材やSUSのようなもともとばね性のある材質を使用する際には、曲げ加工後、テンパー処理を行いますが、なまし材の場合は、油焼き・オーステンパー処理等の焼き入れ焼き戻しを行います。また、SUS631のような析出硬化材に対しては、時効処理を行います。

オーステンパー処理を施した板ばね製作実績はこちら>>

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