薄板ばねの形状と計算式
薄板ばねを設計する際、材料とともに重要なのがどのような形状にするかという点です。
一般的な薄板ばねやクリップ・クランプなどの用途を考えたときは、まずは閉まる方向(荷重がかかった時)で形状を検討します。あとは使用条件・用途・環境に応じて形状を設計します。
薄板ばねと言えば、基本的には板を折り曲げただけの形状ですが、例えば薄板ばねをはめ込むのか?ネジ留めするのか?つまり固定方法について検討する必要がありますし、クランプ用途であれば、クランプする対象物に合わせてクリアランスをどの程度持たせておくか、対象物を挿入しやすいように「さそい」を設定するのかなど、きめ細かな形状検討を行います。
また、薄板ばねの曲げ部分は応力集中を軽減するため、できるだけ曲げ半径は大きく取ると良いでしょう。
なお、当社のような薄板ばねを製造する立場としては、成形した後の形状のほか、ブランクとして展開したときの形状に加えて、材料の圧延方向も考慮した上で検討しています。
ちなみに、開く方向で薄板ばねを使用する場合は伸びて開いてしまうので重ねるなどの対応を取ることがあります(薄板ばねではありませんが、身近な例で言うとトラックなどのサスペンションに使われる板ばねは、荷重に耐えるために複数枚の板ばねが使用されています)。
次に検討すべきことは、薄板ばねの荷重・たわみについてです。
コイルばねの計算には公式というものが存在しますが、薄板ばねは単純形状であれば問題ありませんが形状が多種多様であり、荷重・たわみを計算で出そうとすると非常に複雑な計算になってしまいます。
そこで薄板ばねの開発・設計の現場では、まずサンプルを作成し、テストを行うというのが一般的です。
もちろん全く計算をしない訳ではなく、計算値と経験値、材質・形状(板厚)・熱処理などを掛け合わせ、考慮した上で決定していきます。
なお、概して強度が足りない場合は、板厚を上げるようにします。
ちなみに山内スプリング製作所のある福井県は眼鏡の産地として有名ですが、眼鏡の設計現場としては、着け心地やあがきなど、このくらいだよな、と最終的には感覚で設定することが多いです。
薄板ばねをどんな形状にすればよいかは、様々な業界・用途向けに制作実績があるかにかかってきます。
薄板ばねの形状のご相談はいつでも受け付けておりますので、お困りの際はお知らせください。