薄板ばねの材料の選定方法
薄板ばねは、材料が元に戻ろうとする力を活用した通常のばねとして使用されるものから、乾電池の電極として使用されるもの、あるいは建設現場で固定するために使われるばねなど様々な用途で使用されています。従って、薄板ばねを設計するには、まずは用途に応じた最適な材質を選定することがとても重要です。
ここでは、薄板ばねを設計されるエンジニアの皆様が参考にして頂けるよう、薄板ばねの材質について詳しく説明して参ります。
まず薄板ばねに採用される材質は、産業用途としては一般的には下記が使用されます。
まずは下記をご覧ください。
1. 一般ばね鋼
一般的な用途であれば、SUP、SK85、リボン鋼を選択します。コストダウンを行いたい場合にはベーナイト鋼を選択すると良いでしょう。
なお当社では、耐久性が求められる薄板ばねに関しては、SK材にて加工したものに焼き入れを行う方法をご提案しています。
2. ステンレスばね鋼
防錆が求められる場合に選択されます。SUS304-H、SUS301-H、SUS631-Hが代表格であり、各々硬さ違いの番手(ex.SUS301-3/4Hなど)があり、使用用途に応じて選択します。
SUS304-HとSUS301-3/4Hの硬度は同程度なので、磁性など他の要素も鑑みながら求める硬さを確認していきます。
3. リン青銅ばね
主にコネクタ・リレー・スイッチ・電極などの通電が必要なものに使用されます。非磁性でメッキが施しやすいという特徴があります。
4. ベリリウム銅ばね
リン青銅ばねと同様に、通電が必要な接点などに使用されますが、リン青銅ばねより硬いのが特徴であり(時効処理を行い硬度を上げる)、応力や歪みが繰り返されても形状を維持する必要がある部品に使用されます。
5. チタンばね
耐食性・軽量という特徴を活かし、化学・薬品などの用途で使用される特殊なばねです。チタンばねに使用されるのは、チタンの中でもβチタンと呼ばれるものになります。
6. インコネルばね
耐熱性・耐食性が求められる用途で使用されるばねです。高温環境で使用する航空宇宙・内燃機関・炉内など特殊な用途で使用されます。薄板ばねの製作においては、インコネルが非常に硬く難易度が高いものとなります。
薄板ばねの材質を選定するにあたっては、上記に加えて材料の入手性も考慮する必要があります。
例えばSUPは一般的ですがSK材の方が入手性が高いため山内スプリング製作所ではSK材をご提案することが多くなっています。